爾(なんじ)天照大御神と高木神之命を以って、
太子正勝吾勝勝速日天忍穗耳命に詔(つ)げる
今、葦原中國が平(たいら)に訖(おわり)之(これ)白(もう)す
故、賜る言依に隨(したがい)知る而(に)者(は:短語)降りて坐す
爾(なんじ)、其の太子正勝吾勝勝速日天忍穗耳命に答えて白(もう)す
僕(やつがれ、使用人)者(は:短語)將(まさに)裝束之間に降りて、
名天邇岐志國邇岐志【邇自(より)志に至るは音を以ってす】より子が生まれ出る
天津日高日子番能邇邇藝命
此の子は降るに應える也
此の御子者(は:短語)、高木神之女・萬幡豐秋津師比賣命と御合、生まれる子、天火明命、
次、日子番能邇邇藝命の二柱也
是(これ)を以って隨(したがい)て之(これ)白(もう)す
天邇岐志國邇岐志
「天邇岐志國邇岐志」を検索すると、
「天邇岐志國邇岐志天津日高日子番能邇邇藝命」と出ます。
しかし、本当にそうなのか?と疑問になります。
「天津日高日子番能邇邇藝命」の母親は誰なのか?という疑問もあります。
なので、「天邇岐志國邇岐志」が「天津日高日子番能邇邇藝命」を
生んだ母親だと思われます。
色々と検索に出たサイトを軽く見ると、「天津日高日子番能邇邇藝命」と
「萬幡豐秋津師比賣命」の子である「日子番能邇邇藝命」と
混同している様にも見えます。
参照1のサイトには、「正勝吾勝勝速日天忍穗耳命」と結婚した女性を
「萬幡豐秋津師比賣命」としていますが、文章通りであるなら、
「天津日高日子番能邇邇藝命」に嫁いだのが「萬幡豐秋津師比賣命」だと分かります。
つまり、「正勝吾勝勝速日天忍穗耳命」ー「天津日高日子番能邇邇藝命」ー
「日子番能邇邇藝命」という事になります。
確かに「日子番能邇邇藝命」は、「天津日高日子番能邇邇藝命」の
一部を利用していますが、文章を読めば、違う事は簡単に分かります。
参照1:アメノオシホミミ
この「天邇岐志國邇岐志」には、
「自邇至志以音」と注記があり「音読み」指定になっています。
「邇」:呉音:ニ、漢音:ジ
「岐」:呉音:ギ、漢音:キ
「志」:呉音・漢音:シ
上記により、呉音「にぎし」、漢音「じきし」となりそうです。
呉音で「にぎし」とあるので、「邇邇藝」の読みと思われる「ににぎ(き)」の語源は、
この「邇岐志」という名から来ているのかも知れません。
という事は、「天邇岐志國邇岐志」の力が大きく、
子にも引き継がれたのかも知れません。
「天邇岐志國」は、「天(阿麻)」がある事から、
「天(あま)なる國」の一部だったと考える事が出来そうです。
そして、國名の「邇岐志」が使われている事からして、
もしかすると「女王國」という解釈もできます。
あと、「天邇岐志國邇岐志」の力が強いと言う事は、新しい物を持ち込んだのか、
自分たちで無ければダメな技術を持っていたのかも知れませんが、想像の域は出ません。
聖神社、當麻山口神社、上里神社
「此の御子者(は:短語)」とある事から、
「天津日高日子番能邇邇藝命」の后であるのが分かります。
この人は、「天火明命」と「日子番能邇邇藝命」を生んでいます。
他のサイトでは、「高御産巣日神」や「高皇産霊尊」の女性と書かれていますが、
文章にあるように「高木神之女」となります。
前章で「高木神」=「高御産巣日神」みたいな文がありました。
以前の本文でも書きましたが、そうであるなら、「高御産巣日神」だけで十分なはずです。
ところが、「高御産巣日神」ではなく「高木神」を使っている事から、
同じ一族、もしくは、継承した一族だと考えています。
なので、ここの文も「高木神」と書いている以上、
「高御産巣日神」や「高皇産霊尊」の女性とするのは違うと思います。
真清田神社 境内 服織神社
山口大神宮、船橋大神宮、皇大神宮 内宮
諏訪神社(越前市、同区村社の神明神社祭神合祀)
須倍神社、都美恵神社
椿大神社
桐生天満宮 境内 機神神社、皇大神社 境内 栲機千千姫神社、神戸神社(伊賀市)
今宮神社 境内 織姫神社、竹佐々夫江神社、わら天神宮(京都府地誌にて主祭神)、
乎豆神社、天忍穂別神社 境内 棚機神社、浅間神社・神部神社・大歳御祖神社、
戸隠神社 日之御子社、菅忍比咩神社、物部神社 境内 漢女神社、幡井神社
天手長男神社 境内 天手長比賣神社(壹岐嶋石田郡祭神合祀)、天手長比賣神社
吉野水分神社
須智荒木神社(合祀)、倭文神社(南あわじ市)
池坐朝霧黄幡比賣神社
萬幡
「萬幡豊秋津師比賣命」、「萬幡豊秋津姫命」、「萬幡姫命」とあります。
「萬幡豊秋津姫命」は「萬幡豊秋津師比賣命」にある「比賣」→「姫」にしてあるのと、
「師」を抜かし「萬幡姫命」は更に、「豊秋津」を抜かしているので、
徐々に後世に変化していったのが分かります。
栲幡
「栲幡千千比賣命」、「栲幡千千比賣尊」、「栲幡千千姫命」、「栲幡千々姫尊」があります。
「栲幡千千姫命」と「栲幡千々姫尊」は、「栲幡千千比賣命」と「栲幡千千比賣尊」の
「比賣」→「姫」に変化させているだけなので、双方、後世の人間だと思います。
また、「尊」は、「日本書紀」の形式ですが、どこにいたのか?などは不明です。
栲機
「栲機千千姫命」は、「姫」なのと、「豊秋津師」が無い事を考えると、
だいぶ、後の人間だと思われます。
ただ、「機」は「はたおり」という点では、同じかも知れませんが、
「幡」がほとんどなので、「栲幡」からの派生だとしか思いつきません。
天萬栲幡
「天萬栲幡千幡比咩命」、「天萬栲幡千幡比賣命」、「天萬栲幡千々比賣命」があります。
「天萬栲幡」は、「日本書紀」の形式ですが、「比咩」がある事から考えて、
「萬幡」の一族、「栲幡」の一族と三つの一族がいた可能性があります。